Re:スタート
「ありがとうございますっ。ここで配らせてください!」

「私にも手伝えることがあれば何でも言ってくれ」

「はいっ! 早速、配ってきます!」



私はおばあちゃんに頭を下げてから、荷物を持ち直し外に出る。

お店の外には確かにたくさんの人たちが歩いていた。

親子連れ、カップル、友達同士……。

ここに来るまでは考え事をしていて、周りなんて見えていなかったけど、よくみると本当に人が多いなぁ。

……すごい。


って、そんな感動している場合じゃないっ!

早くチケットを配らないと!

私はごくっと息をのんでから、大きな声を出した。



「ライブの無料チケットをお配りしていますーっ! 新人歌手が全国ツアーをしていまーす!」



大きな声で宣伝をする私。

通りすぎる人たちが、何事かと振り返る。

そんな人たちと目があえば、私は笑顔を作り話しかけに行く。

『興味ない』という人もいれば、『無料なら行ってみようかな……』って人もいた。


そんな感じで徐々に減っていく、手持ちのライブチケット。

私の額にはじんわりと汗がにじんでいた。
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