Re:スタート
「えっ⁉ このドームは一年前からじゃないと予約不可能ですよねっ⁉ それをどうやって……」



佳奈が思わず声を上げる。

俺もその言葉に頷く。

ここの会場を使えるのは大物歌手とか超人気アイドルグループとかじゃないのか⁉


戸惑う俺たちに坂本さんは説明してくれる。



「実は君たちが全国ツアーを始めるって決めた時から、ドームを予約していたんだよ。ツアーが終わるころに合わせてね」

「それって……」

「君たちの可能性を私は信じていたんだ。絶対的人気を誇る歌手になって帰ってくると信じてね」



そう言いながら、坂本さんは立ち上がって、部屋に積まれていた段ボールの前に立つ。

積み重なっていた段ボールは、社長室に入った時から気になっていたけど……。

坂本さんは段ボールの一つを優しく撫でながら言った。
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