Re:スタート
悠と初めて出会ったあの日。

それは、職場に退職届を出した日だった。


私は高校を卒業して、すぐに就職した。

高校の同級生は大学や専門学校に進学していたけれど、私はしなかった。


家で喧嘩ばかりのお父さんとお母さん。



「休みの日ぐらい、家事を手伝ってよ!」

「仕事で疲れているんだから無理」

「そう言ってゲームばかりしているじゃないの!」



私はお父さんがサラリーマンとして仕事で頑張っていることも知っている。

それなりの役職にもついていて、上司として仕事で気を張っているのも分かる。

だって、平日は家に帰ってからも仕事の愚痴ばかり。

嫌でも、どんな感じで仕事をしているのか分かってしまう。



「もういいわよっ」



お母さんが毎日休みなく家事をしているのを知っている。

私が学校から帰ると、きれいに片づけられた部屋。

洗濯物もたたんでタンスの中にしまってくれている。

家族三人分の食事も、毎食欠かさず作ってくれている。



「お前は専業主婦なんだから、家事ぐらいやれよ!」



お母さんは専業主婦だけど、家事に休みはない。

お父さんの言葉にお母さんはイライラしながら家事をする。


両親を見て育てば、家事は女がやるもの、男は仕事に行くもの。

そんな考えがいつしか頭の中にすりこまれてしまう。


……嫌いだ。
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