Re:スタート
「おーい、藤崎。もう上がっていいぞ」

「はいっ」



先輩の言葉に俺は上がらせてもらう。

今日はお客さんが少なかったからなのか、早く上がれた。


久しぶりにギターを弾こう。

ギターを弾くのは家じゃなくて、あの公園で……。


俺は帰る支度を終わらせ、店を出た。

暗い夜道の中、家に小走りで戻ってギターを取りに行く。

そのまま住宅街から離れた公園に向かう。


ギターは決して軽くない。

だけど、今はその重みさえ嬉しいと感じる自分がいる。

街灯に照らされて、自分の影が地面に伸びる。

今は隣には誰もいないけど、いつの日か隣に戻ってきてくれることを祈っている。


10分ほど歩けば公園に着く。

ここは俺にとって大切な場所。

ギターを練習できる公園。

佳奈と出会った公園。

そして、再出発をするとこれから誓う場所。


俺は安定のベンチに座り、夜の空気を思いきり吸う。

メロディーが頭の中に浮かんでくる。

色んな感情があふれ出ているからだろうか。

歌詞のフレーズも頭に浮かぶ。

持ってきたノートにペンを走らせ、忘れないようにメモをする。
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