Re:スタート

【悠Side】 あの日の幸せを胸にして。

オーディション当日。

朝早く起きた俺は、オーディションの準備を済ませた。


忘れ物はなし……、と。

オーディションは10時までに会場に入ればいい。


現在時刻7時半。

時間はたくさんある。

時間を持て余してしまうくらいだけど、俺はアパートの部屋を出る。

会場に行く前に寄りたいところがあったんだ。


……佳奈と出会ったあの公園。

オーディション会場に向かう前に公園に向かった。

今日はラフな格好じゃなくて、カジュアルシャツにスラックスという少しおしゃれな格好をした。


昨日、少し高級な洋服屋で選んでもらった服だ。

自分ではなんとなく浮いているような感じがする。

こんな服慣れていないから、違和感でしかない。

洋服に着られている、とは、まさにこのこと。


おろしたての革靴がアスファルトの地面の上を歩くたびに、コツコツと音を鳴らす。

残暑が厳しくなってくる8月末のこの気温。

額から流れてくる汗をハンカチで拭う。
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