掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
越えては行けない一線 side淳之介
環は意外と泣き虫だ。
それは俺が一番よくわかっていたこと。

強がりで威勢はいいが、その分感情が豊かですぐに泣く。

そんな時慰めるのはいつも俺の役割だったから…

「……仕方ないな。
傍にいてやる。俺が泣かせたんだから、責任とるよ」

いつも『お兄ちゃん』の役割を求められる。でも平気だ。それでも環が辛い時、一番傍に居られるのは俺なんだから。

俺は自制心をもって、環の横に滑り込んだ。

ただ抱きしめて、寝かしつけるだけ。

セミダブルのベッドだから、二人で寝るとそんなに広いわけじゃない。

でも、ピッタリくっついて抱きしめて眠ったら……意外と広いんだな、このベッド。

「ほら、昨日寝付けなかったんだろ?
ここに居るから。少しでもいい、寝ろ」

頭を撫でてやると、俺の胸にしがみついてきた。
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