掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜

拓郎の彼女

9月第二週の文化祭まであと2ヶ月。

一学期の終業式のその日から、私の夏休みはほぼ生徒会室で過ごすことになった。

私は小さい時から、未来科学館のプラネタリウムには何度も付き合わされていた。

そして拓郎はいつも、星座や惑星、その他の豆知識を懇切丁寧に教えてくれた。

ただ「綺麗だな」とは思うけど、拓郎ほどの知識は、何度聴いても身につかなかった。

とは言え、さすがに何度も見せられているので、少しの知識はある。

そして、拓郎が言っていた最新の投影機は、拓郎の部屋のホームシアターとは、規模が違うことくらい、当然わかる。

「拓郎、これ本気でやっちゃうのねー」

「え?」

MEGASTARの見積書を取り上げ、淳之介に見せた。

「昔から何度も未来科学館に連れていかれたし、拓郎の部屋でもホームシアターで見せられたけどさ。
小聖堂のドームだよ?
【拓郎、ついに夢を叶える!】
って感じだよね」

「ああ、まあ……俺は絶対に言い出すと思ってたけど。今年で最後だしさ。
あいつの野望、お見通しだよ」

さすが淳之介。親友なだけあるな。
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