掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「……お、お前な……そんな露骨に」

「事実だろう?
はっきり言えばいいじゃないか」

「……そうだけど……」

「で、結局のところ、たったの2ヶ月ではそんなところにまでは至らなかったと」

「……」

こいつ、何故そこまでわかる?

「何故わかるかって?
そりゃ、毎日生徒会室に遅くまで残って、そのまま俺と環と3人で帰る。
土曜日だって、大抵は俺といるよな?
日曜日は一日中未来科学館だ。
お前の1週間のスケジュールのどこに咲希が入れるんだ?
俺も環も、咲希が気の毒だと思って見てたよ。
まあそんなんだから、お前が付き合った本来の目的を果たせたなんて思ってない」

「……フン! たしかにその通りだ。
咲希とは、片手ほども会ってない。
あの夏祭りの日も、あいつがあまりにもうるさく連絡してくるから、昼飯を食べに行っただけ」

「けどさ、お前さえその気で時間を空ければ、咲希の方はいつでもウェルカムだったんじゃないのか?
俺にはお前にその気がなかったようにしか思えない」

「……」
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