掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜

元カノのハプニング

そして2日目

ハプニングが起こる。

咲希ちゃんがチケットもなしにやってきたのだ。

「私、拓郎の彼女なのよ?
どうして入れてくれないの?」

「……えっと……あの……」

「ねぇ、あなた拓郎の補佐でしょ?
拓郎呼んできてよ」

無茶を言う。
拓郎はまもなく始まる次の回に向けて、もうスタンバイに入っている。

このやり取りをしている間にも、次から次へと、正規のチケットを持つ観客が小聖堂に入っていく。

もちろん、どの回も満席なのだ。

定員が決まっているのだから、咲希ちゃんの入る余地はない。

「拓郎はもうスタンバイに入っています。こっちには呼べません。
それに……あの、チケットは取られなかったんですよね?」

「当たり前でしょう?
私のチケットが必要なんて有り得ないわ。
ああ、席なら必要ないわ。拓郎の横に座れたらいいから」

本当にコレどうしよう……。

「……環?」

「あ! 淳くん……あのっ……」

「倉田くん、中に入れてちょうだい?
この子じゃ役に立たないの。
さっきから話も聞こえているんだか……」
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