掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜

青春の1ページ

陸上部のテントの前を通ると、美由紀がラムネを売っていた。

「あ!! 環〜! いらっしゃい!!
ラムネ買っていってよ〜。
よく冷えてるよ!」

「美由紀……」

「……お前、その格好……」

淳之介の言いたいことはわかった。

美由紀は、陸上部ではごく普通のショートパンツを履いていた。

そう、陸上部で活動している時は普通なんだけど、文化祭では別だ。

惜しげも無く、長く綺麗な脚をさらけ出している美由紀は、かなり目立っている。

無駄なお肉はなく、程よく引き締まった美しい脚は、モデルさんのようだ。

そして、文化祭Tシャツが大きかったのだろうか。Tシャツの裾を縛り、形の良いおへそを見せているのだ。

え? ちょっとこれ、いいの?
男子学生には、刺激が強いんじゃ……。

「ヘソは出すな!」

「何よー。暑いんだもん。
それに、グラウンドで走る時はもっと露出してるけど?」

確かに。
スポーツブラだけ、みたいな上衣で走ってるよね。

それに比べたら大した露出じゃない。
ただ、ここはグラウンドじゃなくて、文化祭のテントなんだけどね。

「大体いつもお前は…」

わぁ、淳之介がお説教モードに入ってる。

美由紀に言ったって、暖簾に腕押しなのにな。

でも気になるよね。
好きな人があれだけの露出した格好をしていたら。

お説教はイヤだけど、優しい淳之介に想われている美由紀は、幸せ者だ。
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