掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
大学時代

拓郎の帰省、知ってしまった真実

大学に進学した拓郎は、ほとんど地元に帰ってこなくなった。

ずっとしたかった勉強がやっとできるのだ。そりゃあ楽しいのだろう。

とはいえ、進学して初めて帰ってきたのが成人式だったのはちょっと予想外に長かった。

夏休みや年末年始にも少しくらい帰る時間はあると思っていたのに……。

正直に言うと、すごく寂しかった。
会いたかったし……話をしたかった。

拓郎の受験が終わってから、東北に移るまでほとんど時間がなく、その間にアパートを決め、引越し準備をし、天文サークルの引き継ぎもあり……と、あまりに忙しかったのだ。

だからまともな話をする時間もないまま、拓郎は行ってしまったのだ。

もちろん、ずっと拓郎が行きたかった大学に合格したのだから、私も嬉しかった。応援していたし。

でも私は気づいていなかったのだ。
拓郎が行ってしまうまで、拓郎と離れるということがどういうことなのかということを……。

ずっと隣の家に住んでいた拓郎。
いつでも傍にいた。
咲希ちゃんのことがあった時も、その後も、常に1番拓郎の傍にいるの女の子は私だった。

でも、今は……。

拓郎がどうして過ごしているのか、全く分からなかった。
どんな生活をしているのか。
どんな友達がいるのか。
毎日何をして過ごしているのか……。

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