オネエさんとOL
「お茶出すの忘れてたわ! とりあえず水だけど、すぐ鍋とお茶できるから待ってなさい」

 リビングのドアが勢いよくあいて、結はまたもや飛び上がった。林太郎が水の入ったコップを置いて、キッチンへ戻っていく。

(うーん気遣いが細かい)

 水なんて、結が『ちょっと水もらえる?』と言いにいけばいいだけなのに、わざわざ気付いて持ってきてくれる。

 林太郎とは幼なじみというやつで、同じマンションの違う階に住んでいた。同い年だから、小・中学校で同じクラスになったこともある。

 昔から『女の子っぽいのかな』と思っていたが、大学生になったあたりから完全に『オネエ』さんになっていた。仲良しの幼なじみということで連絡は取り合っていたが、林太郎が『オネエ』さんだと分かってから、女友達のように気軽になって、さらに遊んだり話したりするようになった。

 そうして社会人になり、ふたりともひとり暮らしを始めて。

 いろいろあって、一か月前から付き合うことになった。

「お待たせ!」

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