能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
無能社員、社長秘書に抜擢される
カチリ…と時計が午後5時を指差したその瞬間、私はパソコンを閉じた。

「お先に失礼しまーす」

パソコンの電源が切れたことを確認すると、椅子から腰をあげた。

「はい、お疲れー」

「また定時あがりかよ」

「俺たちは今日も残業だって言うのに…」

「最低限のノルマは達成してるからって偉そうに…」

「ホント、最近の若者は向上心がないよなー」

はいはい、全部聞こえてますよ。

「どうせあれだろ、男だろ」

「この後、男とデートする約束があるんだよ」

「いい気なもんだよなー、結婚すれば仕事を辞めることができるからって」

あー、うるさいうるさい。

ノルマが達成できないからって、業績アップができないからって、毎日残業だからって、マジで厄介なんですけど。

「お疲れ様でーす」

グチグチと文句を言ってる彼らに笑顔であいさつをすると、私はオフィスを後にした。
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