傷だらけの黒猫総長
プロローグ

幼き日

Side:くろばこうき




『あの、おとうさん……ぼく、おとうさんと、あそびたくて……』


『遊んでいる暇があったら勉強をしなさい。お前は人より努力をしなければいけないんだ』


『あ……ごめんなさい……』




おとうさんは、いつも“べんきょうをしなさい”って、いう。

ぼくは、“人よりおとっている”から、たくさん、がんばらなきゃいけないんだって。




『……ぐすっ……もっと、もっと……がんばらなきゃ……』




いっぱい“どりょく”をすれば、おとうさんもきっと、あそぶのをゆるしてくれるよね?

やさしくて、あったかい、おにいちゃんみたいに……いっしょに、あそんでくれるよね。




『おにいちゃん……きょうは、かえってこないのかな……?』




おにいちゃんが“おうち”にきてから、ひとりぼっちは、さみしくなった。


いっぱいいっぱい、がんばるから……いつもみたいに、あたまをなでてほしい。

ぎゅーって、だきしめてほしいな。



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