傷だらけの黒猫総長


真実だからこそ光って見えるものが、お父さんにもきっと伝わる。


そう信じて、言葉を工夫していく。




「わたし達も勉強を疎かにしているわけではありませんし、予習で授業範囲を先取りしている子も大勢います」


「平均値が下なわけではなく、皇輝が上をいっていると?」


「はい。それは、皇輝くんが学校の外で、誰よりも自習に励んでいるからできることです。そして自習には、精神力が必要とされます」




監視がなければ努力を怠るなんて、全くの見当違いだ。

皇輝くんはお父さんに認められようとして、過剰なくらい“努力”をしてる。


“人より努力をしないと普通に追いつけない”と言っていた意味だって、今なら痛いくらい分かる。




「……なるほど、君は皇輝が進んで自習をしていたと考えているのか。私の認識では、それは“家庭教師の元で授業を受けていた”が正しい」



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