追放聖女はスパダリ執事に、とことん甘やかされてます!
(結婚……レイが…………)


 ヘレナはレイを見つめつつ、グッと歯を喰いしばる。


(そんなこと、考えたことも無かった)


 ヘレナより年上のレイは結婚適齢期。そう言う話が出ても、ちっともおかしくない。けれどヘレナは、レイが誰かと結婚する未来を想像したことがなかった。


(だってレイは元々わたしの執事で……だけど――――――)


 執事だから何だというのだろう?ヘレナは彼の私生活まで縛ることは出来ない――――そう分かっている筈なのに、頭のどこかで、レイがヘレナだけのものでいてくれると思っていたのだ。侯爵令嬢であった頃ならまだしも、今のヘレナは、レイを取り巻く少女達と何ら変わりない。本当は彼のお嬢様ですら無いというのに、おかしな話だ。


「結婚ですか。そうですね――――」


 それまで微笑みつつ無言を貫いていたレイがポツリと呟く。柔らかな笑み。気づけばヘレナはレイに向かって走り出していた。


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