身代わり花嫁として嫁ぎましたが、どうやら旦那様も身代わりのようです?
 リカルド様はドルンを治める立場ではなく、研究所の所長になるのだ。こんなことをお願いされても困るのは分かっている。でも……きっと彼も、ユーリ様と同じように人を思いやれる気持ちの持ち主だと思っている。
 だって、突拍子もない方法だったけど、彼が失踪したのは元を正せばユーリ様のためにと思ってのことだから。


「僕ができることは限られているけど、まあできることはやってみるよ。国王陛下を操ることは得意だしね。じゃあ、あとは二人で仲良くやってよ。またいつかどこかで会えるといいね」

「リカルド……」

「ユーリ、元気で。早くケガを治せよ」

「……ありがとう。リカルドも、やっと自分の好きなことができるんだから、逃げずに頑張れ。ドルンとロンベルクなら近いし、何かあったら助け合える」


 二人はお互いに抱き合って、背中をポンポンと叩いた。背中の傷を叩かれて痛がるユーリ様を見て、リカルド様はまたクスクスと笑う。

 お見送りに出た私たちに、リカルド様は最後にもう一度振り返って言った。


「あともう一つ! お邪魔虫のカレンちゃんも、研究員としてドルンに連れて行くことにしたから! じゃあまたね!」
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