ひと夏のキセキ
遠くの方にはワイワイと楽しむ人だかりが見える。


車から降りてその人だかりを眺めていると、首筋に冷たいものが当たる感触に襲われた。


「ひゃっ!」


驚いて振り返ると、缶ジュースを持っていたずらに笑う遥輝が立っていた。


「ビックリした…」


「飲む?」


差し出してくれたのはサイダー。


炭酸はあまり得意じゃない…。


受け取ろうか迷っていると、遥輝はもう片方の手からペットボトルを渡してくれた。


「炭酸苦手だったかもと思ってこっちも買ってきた。これ好きって言ってたよな」


桃味の天然水。


私、遥輝にその話したかなぁ。


葵にしか話していない気がする。


もしかしてリサーチしてくれたのかな?


「ありがとう!嬉しい!」


遥輝のこういう小さな優しさが大好きだ。
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