ひと夏のキセキ
「俺はもう少しここにいる。絢はコイツと先帰ってて」


「……でも」


今このまま別れたら、会いに来てくれないんじゃ…?


もう会えなくなるかもしれないのなら、今話してから終わらせたい。


「…必ず会いに行くから」


「………うん…」


ホントに来てくれる…?


もう話せないのは嫌だ。


また会いたい。


…そう思ってしまっている時点で、アウトだね、私…。


「…信じてねぇだろ」


「だって…」


遥輝は私と会いたくないんじゃないの?


女遊びするくらい、私を忘れたいんじゃないの?


いろんな思いが溢れそうになるけど、グッと我慢して口をつぐむ。


「…わかったよ。じゃあ絢もここにいて」


「いいの?」


願望を口にする前に先回りして応えてくれるところが好き。


エスパーみたいに心を読んで察してくれるところが大好きだった。


「じゃあ僕は外で待ってるから。何かあったらすぐに呼んで」


神田先生はそう言って外に出てくれた。
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