ひと夏のキセキ
「可愛い。でも、ちゃんと話してくれるまではおあずけかなー」


イジワルな笑みを浮かべ、私の顔を覗き込んでくる。


「…見ないで」


一睡もできず疲れ切っている顔なんて見てほしくない。


そのうえ泣いちゃったし、最悪のコンディションだ。


「ちゃんと話して。絢が何考えてたのか知りたい」


「……わかった」


もう、どうにでもなってしまえばいい。


流れに身を任せてしまえばいい。


「遥輝のことが大好きだから、傷つけたくなかった」


目を見て話すことかできず、ジッと布団を見つめる。


「うん」


優しい相槌と共に、頭を撫でてくれる遥輝。


「私が死んだら、遥輝が傷つくと思った。お母さんのことや茜さんのことがあるから、余計に…」


「うん…」


「だから、その前に関係を絶とうと思ったの。遥輝を守りたかった。ごめんね…」
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