ひと夏のキセキ
「あんたらさぁ…絢を置いてけぼりにすんなって。絢のお見舞いなんだから」


皆が思い思いに喋ってワイワイする雰囲気が青涼っぽい。


この空気感に触れたのは今年の夏が始まった頃だったかな。


最近のことなのに、すごく懐かしく感じる。


「お前ら、俺の悪口言ってんの聞こえてっからな。あとで覚えとけよ」


ドアの隙間から顔を覗かせる遥輝。


ヤベッという顔をする陸と海、表情を変えない真生、ケラケラ笑う葵。


やっぱり青涼っていいなぁ…。


「遥輝もこっち来いよ。久々に6人で喋ろーぜ」


「絢ちゃんもそのほうがいいっしょ?」


「うん!」


6人で喋る時間は本当に楽しくて、不安もすべて忘れられるくらい色鮮やかな時間だった。


フライト、頑張ろう。


アメリカでも、頑張ろう。


絶対、皆と再会するんだ。


もう逃げないし、弱気にもならない。


私は絶対皆のところへ、遥輝のもとへ、元気になって帰ってくる。


だから、待ってて、遥輝。


絶対に治して帰ってくるからね。


信じて待っててね…。
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