ひと夏のキセキ
第2章

微妙な関係


昨日、手を繋いで校内を歩いたせいか、私と遥輝が付き合っているという噂が瞬く間に広まってしまった。


青涼幹部の溜まり場である空き教室にも女の子たちが詰めかけてくる始末。


「遥輝、いい加減機嫌直せよ。ほら、お前の好きなプリン買ってきてやったから」


しかめっ面でソファを占領する遥輝に、陸が焼きプリンを差し出す。


海と葵が廊下で女の子たちをなだめて堰き止めてくれているけど、遥輝の不機嫌モードは収まらない。


聞けば、校門前でも女の子たちに囲まれて質問攻めされたらしい。


「手繋いでたぐらいで騒ぐなよめんどくせぇな」


ブツブツ文句を言いながらも素直にプリンを受け取るところがなんだか可愛い。


「絢ちゃんもプリン食べる?これ超美味しいよ」


「絢はそーゆーの食べれないから」


私に差し出されたプリンをすかさず奪う遥輝。


たしかに添加物がたくさん入った食べ物は避けてるけど、これくらいなら食べれるんだけどな…。
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