激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


 恵比寿にあるレストランバーの一角を間借りし、基本はオープン十時、クローズ二十時で営業している。

 東京に出店することを決めたとき、本当はどこかに個人でテナントを借りてお店を始めるつもりでいた。

 でも、実際に物件を探し始めると東京の家賃の高さに驚いた。

 ネイルサロンを経営していく上でいいなと思える場所は大抵『無理だ……』というテナント料。

 交通の便のいい駅周辺から少し外れた場所になればテナント料も少しは下がるけれど、それでは集客が難しくなるリスクがあるため、なるべく立地を優先したかった。

 しかし、どうしても希望の場所では予算オーバーとなり、テナントを設けることは諦めざるを得なかった。

 開業を考え始めた頃、ネイルスクールの同期たちの中ですでに独立をしている友人たちに連絡を取り、開業のアドバイスを仰いだ。

 その中で、ホームサロンや、どこかの店舗を間借りするというのを勧められた。

 自宅兼サロンでやるということには、実家の両親が反対した。

 東京にひとりで出て自分の住まいでお店を開くことは、住まいが不特定多数の人に知られて危ない。

 仕事場と住まいは別の場所に持つのが東京に出て行く最低限の条件だと言われたのだ。

< 2 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop