岩のような愛を……
「えっ?な、何言ってるんだよ」

明らかに様子がおかしい。イワナガ姫の態度に颯は恐怖を覚え、逃げ出そうとした。だが、足が何故か動かない。

「はっ!?」

颯の足が岩になっている。動かしたくても動かせない。突然のことに驚く颯に、イワナガ姫は抱き付いてきた。

「絶対に相手の女のところなんて行かせないわ。私のそばに永遠にいてくれるんでしょ?だったら、死んだり他の女に目移りしないようにしないとね?」

「ちょっと、何を言って……。やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!誰か!!誰か助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

颯の体がどんどん岩で覆われていく。大声で助けを呼ぶものの、ここは村から離れているため、誰にも気付かれることはない。

数十秒後、山の中に響いていた絶叫が止んで辺りは静かになる。イワナガ姫は岩となった愛しい人に頬擦りをし、「ああ、やっと私だけのものになったわ」と呟いた。








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