岩のような愛を……
家の手伝いをしつつ、空いている時間に仲間たちと集まって遊ぶこの時間が颯は大好きだ。鬼ごっこをしたり、虫取りをしたり、川遊びをしたり、自然豊かなこの村は子どもたちの遊び場となる場所が多い。

「絶対に捕まるもんか!」

颯は鬼となった友達から捕まらないよう、山の中へ一旦隠れることにした。闇雲に逃げて体力を消耗するのを避けるためだ。

木漏れ日が差し込む山の中は、どこか不思議な雰囲気を漂わせ、子どもの好奇心をくすぐる。

「山の中、じっくり歩いたことなかったなぁ。ちょっと探検してみるか!」

木に自分が通った目印をつけつつ、颯は山の奥へと進んでいった。鳥の鳴き声、獣の爪痕、木々が風で騒めく音、そうした一つ一つによって冒険心を大きくしていく。そして、颯の前に大きな岩が姿を見せた。

大人の背丈以上に大きなその岩は、木々に囲まれたこの場所にあるのはどこか不自然に思えた。元からこの場所にあるようには颯には思えなかった。
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