【WEBTOON】断食魔女と肉食神官~拾った子供が聖女に選ばれた魔女のお話~【コミカライズ】
「待ってよ……そんな! そんなことってないわ! 私が本当の母親なのに。お腹を痛めてあなたのことを産んだのは私なのに! それなのに、その人を選ぶだなんて……」

「あのぅ……間違っていたらスミマセン。貴女が今更、母親として名乗り出たのは、聖女様とそのご家族には多額の金銭的援助がある上、社会的な地位を約束されるから――――ですよね?」


 その時、泣きわめく女性の前にセドリックが静かに立ちはだかる。女性は見るからに狼狽えた様子で、ブンブンと首を横に振った。


「え? いえ、そんな。私は……別に、そんなつもりじゃ…………」

「なるほど、そうでしたか! 
それでは貴女は、六年前に、生まれたばかりの小さな赤ん坊を遺棄したという己の罪を我々神官に対して告白し、懺悔をしたかった――――ということなのですね?」

「え? あっ……!」


 セドリックの瞳が冷たく光る。女性はハッと息を呑み、一気に顔が青褪めていった。


 赤ん坊の遺棄は、当然ながら立派な犯罪行為だ。わたしは殺人をしたのと同じだと思ってる。だって、もしもわたしが見つけていなかったら、マリアは今、生きてこの場所には居ないんだもの。


 この女性は、助けを求めることも、自力で移動する術すらない幼いマリアを放置した。神殿や親戚等を頼ることすらせず、見殺しにすることを選んだ。

 そして今、その罪を自らの口でハッキリと告白したのだ。


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