【WEBTOON】断食魔女と肉食神官~拾った子供が聖女に選ばれた魔女のお話~【コミカライズ】
「わぁっ! すごい、すごい! 本当にジャンヌさんがいる!」


 少し舌足らずのあどけない声音が聞こえ、思わず振り返る。


「ジャンヌさん!」

「マリア……」


 そこには聖女に選ばれたわたしの養女、マリアが居た。
 腰のあたりをギュッと強く抱き締められ、すりすりと顔を擦りつけられる。ふわりと香る幼子の匂い。何故かは分からないけど、鼻の奥がツンと痛む。


「会いたかったぁ!」


 マリアが言う。久方ぶりに見る無邪気な笑顔だ。

 こういう時、普通の人なら『わたしも』って返すんだと思う。
 だって相手は子どもだし。無償の愛情を約束されている存在なんだし。そういう言葉が自然に口を衝いて然るべき何だと思う。

 だけどわたしは、マリアに何も言えなかった。抱き返すことも出来ず、ただ呆然と佇むだけ。

 それなのに、マリアは未だ、嬉しそうにわたしのことを見つめている。この子は本当にわたしに会いたかったんだろうって、そう思わされる。


(馬鹿マリア)


 折角聖女に選ばれて、良い生活が出来るようになったんでしょう? わたしのことなんて忘れてしまえば良いのに。

 世話も碌にしなかった上、人並みの愛情も与えられなかったわたしに、この子は何を求めているんだろう?


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