優しい微笑みに騙されて
「第2ゲームスタート☆」
仮面男の声が聞こえた瞬間に、私は近くのグループに発砲する。そして、予想通り綺麗に外れた。あとは周りの攻撃を避けながら進むのみ。そこまで簡単ではないことだが、私達の運動神経なら出来なくもない気がした。
「3つ左のグループ咲に向かって構えた。避けろ」
「後からスタートした、人数少なめのグループが、とりあえず打ちまくってるから気をつけて」
1番前に馨、1番後にゆかを配置し、周りの発砲状況を確認しながら、私とるなと尋で避けながら進んでいく。



「ずる賢いグループが1番にゴールですか☆ちょっと折角なら一人くらいかけて欲しかったですね☆」
1番でゴールした私達に、仮面男はそう嫌味を吐く。
「なぁ、お前何のためにこのゲームやってんの?」
私がそう聞くと仮面男はん?と首を傾げる。
「何のため…ですか☆ユカさんのためですかね☆」
……………は?ゆかのため?何を言ってるんだこいつは。ゆかを見ると、ゆかも信じられないとでも言いたそうな顔をしている。
「何が、私のためですか?」
ゆかはそう仮面男に問いかけるが、男は答えない。男はしばらく黙っていると仮面に手をかけ、そのまま仮面を外した。予想外の行動に私達は呆然と見ているだけだった。その、整った容姿を。
「ユカさん☆言っておきますが、早く諦めて協力する方が良いと思いますよ。そうすれば全てが平和に終わる…」
仮面男は急にハイテンションな雰囲気を無くして冷静にそう語る。私には、何がなんだか分からなかった。まず、協力とは何のことだ?
「ユカさんが1番傷つかないのは、早いうちにあの方に協力することのみですね。その無駄に働く脳で考えてもてください」
仮面男は少しだけ屈み、ゆかと視線を合わせてそう呟く。私達はみんな、その様子を呆然と眺めていることしか出来なかった。
「あの方、怒ると少々面倒ですから」
最後にそう言い残し、また仮面をつけて去って行く。色々謎が多すぎる。ゆかはただ1人だけ、恐怖に飲み込まれそうな顔をしていた。何があったのかはわからない。ただ、何かがあったのだけは良く分かる。そして、何もやってあげることが出来ない自分に少し苛立ちが湧いてくる。幼馴染がこんなに大変そうなのに、何もできない自分。あまりにも自分が弱く感じた。

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