子作り婚の行方。～年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋～

　お義母様は相変わらず忙しそうに茶室に入っていくのが見えた。

　その様子を見ていると「君はお茶をたてられるか？」と声がした。

　ハッとして振り向くと、いつの間にかお父さまがいた。

「いいえ……」

　嘘をついても仕方がない。正直に告げた。

「我が家では女主人が客を迎える準備をする。茶室の用意をして料理人の手配に手土産の準備」

　お父さまの言いたいことがなんとなくわかった。

「やれとは言わない。参加しなくてもいいし。家に客を迎えなくてもいいだろう。ただ、疾風と結婚するからには覚悟が必要だ。孤立する覚悟か、すべてを体得する覚悟」

　緊張で喉の奥がごくりと音を立てた。

「君はその覚悟があるかな？」