戻り駅
だけど素直に質問しても答えてくれるものではないと、良治の様子を見ていればわかることだった。


 ここは無理に聞き出すよりも、様子を伺ったほうがいい。そう考えた俺は学校内ではなんの行動も起こさなかった。ただ遠めから良治の行動を確認するだけにとどめた。


 そして一度家に帰宅してから、もう一度外へ出て良治の家に突撃したのだ。


 不意に訪れた俺を見て良治はひどく驚いた顔を浮かべていた。


 だけど門前払いをすれば余計に怪しまれるとわかっているので、しぶしぶ部屋に上げてくれたのだ。


 良治の部屋に上がるのは久しぶりのことだったけれど、なにも変わっていなかった。


 ブルーのカーペットに窓辺に置かれたベッド。


中央には四角いローテーブルがあり、良治はクッションを出してくれた。


「サンキュ」


 俺はそれを尻の下にしいて胡坐をかいて座った。


 用意してくれた麦茶を一口飲んだところで、落ちつかない様子の良治が口を開いた。


「で、急になんの用事だよ?」


 できれば俺に早く帰ってほしいと思っているのが、ありありと伝わってくる。


「今日のお前、なんか変だったから心配したんだ」


「変ってなんだよ。別に変じゃないだろ」
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