戻り駅
「なんだよお前ら、俺のことをつけてきてたのか!」


 良治の顔が真っ赤に染まる。


「違うんだ良治。俺はお前を助けたくて」


「黙れ! どうしてそんなに俺につきまとうんだよ! そんなに俺の行動がおかしいか!?」


 叫びながら唾を吐き、目は血走ってきている。私は数歩後ずさりをして良治から距離を置いた。


 こんな風に怒っている良治を見るのははじめてのことだった。


 ただ怒るのではない。


 まるで周りの様子が見えなくなっているのだ。


 良治は両手で頭を抱えて大きな声で叫び始めた。


「りょ、良治、落ち着いて」


 両手を伸ばして良治の肩をさすり落ち尽かせようとした。


 ただそれだけだった。


 しかし私が動いたことで良治は更にパニックになった。


「黙れって言ってるだろ!?」


 叫ぶと同時に私は突き飛ばされていたのだ。


踏みとどまることもできずに後方へ倒れこむ。


誠が目を丸くしてなにか叫び、運転手の男は興味なさそうな視線をこちらへ向けていた。
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