オオカミ王子はわたし限定



「……勉強、しない?」



私がボーッと突っ立っていたからか、りっくんから声をかけられて、ハッとして、切り替える。

りっくんのことは大問題だけど、今は通常王子モードのりっくんだ。


余計なことは考えるな、汐架。

今は追試にならないことだけ考えなさい、他ごとを考えるのは後。


いろいろ逸れてしまったけど、今日ここにいる理由は勉強。私の数学。追試回避。推しとの勉強スペシャルイベント。



「や、やる……!」



まだ少し心臓の音は速く鳴っているけれど、優しく微笑む推しを信じて勉強に集中することにした。


相変わらず教室に響く、部活動の青春のこえ。









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