オオカミ王子はわたし限定
だけど、そんな放送担当も今年で二年目。
みんな放送担当にはなりたくなくて例年ジャンケンで決めることになる。
去年は私もジャンケンで負けて放送担当になってしまったけれど、今年は自ら立候補したんだ。
なんだかんだ、この埃っぽい小さい放送室の空間が好きだったりする。
気分によって好きな音楽をかけることもできるし。
それになにより、この後の時間が好きなのだ。
だから放送が終わればすぐに向かいたい。
全てのスイッチを切ったことを確認して、狭い密閉空間から解放されようとする、と。
「……これ、あんたのじゃないの」