魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
私も肩を竦めて会釈を返す。
彼はすぐに、今野さんに視線を戻した。
「お前、神凪に会った?」
「え?」
訊ねられた彼女が、意表を突かれた顔をした。
ギクッと肩を強張らせた私を、横目で窺っているのが感じられる。
「お前のこと捜してたみたいだよ。なんか、急いでるっぽかったけど……」
「あ、あの」
顎を撫でて首を傾げる水無瀬さんに、私は椅子から降りながら呼びかけた。
「え?」
「それで、神凪さんは今どこに?」
初対面の私に詰め寄られて、彼は一瞬たじろぐような素振りを見せたけれど。
「あれがそうかな?」
長い人差し指で、私を通り越して窓を示した。
私は彼の指さす方向を目で追い、駐機スポットの向こうの滑走路に、今まさに進入を開始した787を見つけた。
「今日は札幌でステイ。明日はフライトないけど、明後日から中二日でパリの予定だから、便乗して戻ってくるはず」
「パリ……?」
丁寧に教えてくれた水無瀬さんが、うんと頷く。
私は明日、夜勤に入る。
これから一週間、会って話すことはできない。
そう思うと、どうしてだか鼓動が速まって落ち着かない。
私を強引に口説いても、神凪さんが本当に好きなのはきっと――。
やっと見つけた、彼の本心の在処。