売られた令嬢
綺麗なドレスを身に纏うと今度は広い部屋の大きなテーブルで一人食事を出される。

しかし手を出さずに待っていると…

「ロレッタ様どうなさいましたか?お口にあいませんでしたか?」

エミリーさんが心配そうに聞くので慌てて否定する。

「いいえ!とても美味しそうです…それに綺麗に盛られて食べるのがもったいないくらいです」

「ならお気になさらずにどうぞ召し上がってくだませ」

「ですが…フレッド王子は?」

「ああ、王子ならまだ仕事がありますから先にと…まさかロレッタ様王子を待っていて!?」

エミリーさんが驚いている。

「主よりも私が先に食べる訳には…」

「なんと健気な…ロレッタ様大丈夫ですから今日は先に食べてくださいませ」

エミリーさんに促されて私は仕方なくいただきますと先に食べることにした。

食べきれないほどの料理を出されたので申し訳ないと謝り残して寝室へと戻ってきた。

するとエミリーさんを待ってる間に疲れた体と満腹なおかげで睡魔が襲ってきた。

王子よりも先に寝る訳には…

どうにか頑張っていたが私はとうとう力尽き…その瞼を閉じてしまった。




エミリーは寝巻きの用意をしてロレッタ様の元に行くと…

「あら…」

そこには王子のベッドで気持ちよさそうに眠るロレッタ様がいた。

小さい体をベッドの端っこでまん丸にする姿は猫のようだった。

「ふふ、可愛らしい寝姿だわ…気持ちよさそうだし…今日はロレッタ様はここでおやすみしていただきましょう」

王子は別の部屋を用意すればいいわとエミリーは部屋の灯りをそっと消して部屋を出て行った。

王子の側近のシドさんの部屋にその旨の報告用紙を出すと、エミリーは仕事を終えて自室へと帰った…その日シドがコスリガ国を調べるために留守にしているとは知らずに…



そんな事とは知らずにフレッドはようやく仕事を終えて自室へと戻ってきた…軽食を軽く済ませて浴びるだけの湯浴みを済ませると服も身につけずにタオルを一枚巻いたままベッドに倒れ込んだ。

昼間ロレッタを湯浴みに運ぶ際に変に手を出して墓穴をほったのでそれを収めるために仕事に集中しすぎた…

ロレッタの寝顔を見たかったが遅い時間になってしまったので明日改めて拝顔しよう…どうせロレッタを気に入ったエミリーの事だ。

今日は別室でゆっくりと寝かせているだろう…

フレッドはベッドのシーツを掴んで自分にかけようとすると…

スルッ…

何者かの感触に飛び起きた!

刺客か!

枕元に置いてある短刀を掴むと…

「うーん…」

そこには気持ちよさそうに眠るロレッタが自分のベッドで寝ていた…先程のはロレッタが寝返りをうったようでその手がたまたま当たったようだ。

「しかしなぜここに…」

王子は隣に用意したはずのロレッタの部屋へと向かうと…

そこはものけの空でロレッタのために用意させた寝巻きだけが使われずに置いてあった。

見ればロレッタはドレスを着たまま眠っている…

あれでは苦しそうだな

フレッドはロレッタに近づくとその背中の紐を優しく解いていった。
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