やり直しの人生では料理番の仕事に生きるはずが、気が付いたら騎士たちをマッチョに育て上げていました。 そしてなぜか、ボディビルダー王子に求愛されています!?
6
ビアンカは、厨房内を見回した。もう夜なので、獲れたて卵はないが、野菜や果物の類はそろっている。焼きたてではないが、パンも残っている。夕食にする予定だったらしい、焼きサーモンもあった。
(ふむ、これだけあればOK)
ビアンカは、まだ不安そうに見守っているエルマに声をかけた。
「エルマさん。申し訳ないですけど、今日は胡椒を使わせてもらいますよ? 王子殿下に振る舞うものですからね。あと、燻製にしてあるチキンもお出ししていいですか」
「ああ、そりゃ構わないけれど……」
貴重品たる胡椒使用の了承を得て、ビアンカは早速調理に取りかかった。燻製チキンは、スープにする。タマネギを多めに加えることで、栄養満点だ。焼いてから時間が経ったパンは固くなりつつあるので、このスープに浸してもらおう。
焼きサーモンは、皮と骨を取り除いて、すり潰した。これは、パテにするつもりだ。ボネッリ邸の晩餐会で、ステファノがサーモンのパテを気に入っていたからである。あの後料理長からコツを聞いたところによると、塩よりも胡椒を多めに用いるとのことだった。教わった分量で、慎重に味付けていく。そしてここにも、みじん切りにしたタマネギを加えた。
あとは、デザートだ。梨があったのは幸運だった。皮を剥いて切り、砂糖を加えて煮込んでいく。レモンもあったので、絞って入れた。煮梨をチョイスしたのは、疲労回復に良い……ということもあるが、ステファノが食べさせてくれた、思い出の一品だからである。
食事を作り終えると、ビアンカは勢い良く食堂の扉をノックした。
「失礼します! 休憩して、お食事はいかがですか?」
(ふむ、これだけあればOK)
ビアンカは、まだ不安そうに見守っているエルマに声をかけた。
「エルマさん。申し訳ないですけど、今日は胡椒を使わせてもらいますよ? 王子殿下に振る舞うものですからね。あと、燻製にしてあるチキンもお出ししていいですか」
「ああ、そりゃ構わないけれど……」
貴重品たる胡椒使用の了承を得て、ビアンカは早速調理に取りかかった。燻製チキンは、スープにする。タマネギを多めに加えることで、栄養満点だ。焼いてから時間が経ったパンは固くなりつつあるので、このスープに浸してもらおう。
焼きサーモンは、皮と骨を取り除いて、すり潰した。これは、パテにするつもりだ。ボネッリ邸の晩餐会で、ステファノがサーモンのパテを気に入っていたからである。あの後料理長からコツを聞いたところによると、塩よりも胡椒を多めに用いるとのことだった。教わった分量で、慎重に味付けていく。そしてここにも、みじん切りにしたタマネギを加えた。
あとは、デザートだ。梨があったのは幸運だった。皮を剥いて切り、砂糖を加えて煮込んでいく。レモンもあったので、絞って入れた。煮梨をチョイスしたのは、疲労回復に良い……ということもあるが、ステファノが食べさせてくれた、思い出の一品だからである。
食事を作り終えると、ビアンカは勢い良く食堂の扉をノックした。
「失礼します! 休憩して、お食事はいかがですか?」