先生と私の三ヶ月
 お墓参りが終わった後は、伯父が予約をしてくれていた割烹料理店で会食となった。
 お経をあげてくれたお坊さんも含めて、個室には10名程がいた。
 お酒好きの伯父は早速純ちゃんにお酒を勧めてくる。今日は車だからと断るけど、帰りは今日子ちゃんが運転すればいいと伯父に言われた。

 私たちは別々で来たのに。
 帰りだって純ちゃんの車に乗るつもりはない。

「今日子、いいだろ?」
 甘えるように純ちゃんが言った。
 みんなの前で言われては断れない。一緒に帰るのは嫌だったけど、仕方ない。

「しょうがないわね。純ちゃん飲みすぎないでよ。弱いんだから」
「ああ、わかっているよ」
「純ちゃん、意外と今日子ちゃんの尻に敷かれているんだ」
 向かいの席に座る理奈ちゃんの言葉にみんなが笑った。
 純ちゃんは伯父と酒を飲みながら、珍しく私の話をした。私の料理が美味しいとか、私が物凄くきっちりしているから、いつも部屋が綺麗だとか。

 そんな風に思ってくれていたなんて知らなかった。
 伯父の前だから誉めてくれているんだろうか。

「今日子は僕の誕生日にはいつも手作りのチョコケーキを作ってくれて、味も僕に合わせて作ってくれて美味しいんですよ。僕にとって一番食べたいケーキは今日子の手作りなんです」
 伯父に一生懸命、話している純ちゃんの姿を見て、もっと早く言って欲しかったと思った。

 先生と出会う前の私だったら、その言葉を無邪気に喜んだ。
 どうして今、そういう事を言うの。

「いいな今日子ちゃん、純ちゃんって物凄い愛妻家じゃん」
 理奈ちゃんが冷やかすように言った。

「今日子、出張が終わったら北海道旅行行こうな」
 純ちゃんの言葉に胸が痛くなる。
 堪らず、席を立った。
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