あなたの妻になりたい
「このプレトニバの王族は竜人族の血を引く。国王に即位して、初めて成竜に姿を変えることができる。君が見ている飛竜は、父上だよ。俺はまだ、子竜に姿を変えることしかできない」

 ここまでくれば、鈍感なマイリスだってなんとなく気付く。

「では、昨夜の子竜のランちゃんは……」

「俺だな」

 本人に向かって、なんてことを言ってしまったのか。このままシーツをかぶって顔を隠したいくらいなのに、それができないのはランバルトが、片手でがっしりとマイリスを抱き締めているからだ。

「まさか、あのタイミングで子竜になるとは思ってもいなかった。だが、これはある意味チャンスかもしれないと思った。君が、昔のことを思い出してくれるチャンスだと」
 そこでランバルトは微笑んだ。彼のこのような笑顔も、マイリスは今まで見たことがなかった。

「私は、あの子竜のことを忘れたことなどありません」

「そうか」

「ですが、ランバルト様は、私のことがお嫌いなのでしょう? その、ずっと子作りに励もうとなさらなかったから」
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