夜と遊ぶ
707号室
ニュースでは、一夜が撃たれたのはS町駅近くのホテルと報道されていたけど。


このラブホテルではない事は、ホテル内が静かな事から分かる。


私は荷物を纏めると、部屋から出た。

その際、薔薇やケーキが気になったけど、流石に何の備えもなく、これらを持ち出せない。


ラブホテルから出ると、見覚えのある車が停まっているのが目に入った。


それは、早瀬さんの黒いセダン。


私がそちらに歩いて行くと、運転席から早瀬さんが出て来た。


「早瀬さん!一夜は?」


駆け寄りそう訊く私に、早瀬さんは、


「とりあえず、車に乗って下さい」


そう一言言って、運転席に乗り込んだ。


私もどうしようか?と思いながらも、その車の後部席へと乗り込んだ。


「後ろの方が落ち着きますか?」


そう言われ、いつもこの車に乗る時は一夜と後部席に乗っていたから、そのいつもの感じで。


「そっか…一夜が居ないのに変ですよね。
前に移ります」


「いえ。少し話したいだけなので、そのままで構いませんよ」


早瀬さんは、私に話があってこの場所に居たのだろうか?


その話は、一夜の事だろう。



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