夜と遊ぶ
束縛
一夜と付き合い始めて、半月以上が過ぎた。


今の所、交際は順調で、毎日一夜と会っている。


時々、一夜の部屋に泊まり、夜を共にする。


一度、お泊まり予定の時、急に生理になってしまった事があったけど、
それで帰ろうとする私を、一夜は、今夜はしないから一緒に寝て、と引き留めてくれた。


なんだか、本当に私って愛されているんだな、と、その幸せを噛み締めている。


今日もペットショップでのアルバイトが終わり、
一夜の自宅に向かう。


今夜は、お泊まりだから、ちょっと荷物も多い。


ペットショップを出てすぐの、駅に向かう細道の所に、
見た事がある車が停まっている。


それは、昌也の白のシビック。


私がそれに気付いて足を止めると、シビックから昌也が降りて来る。


「真湖、ちょっと話せないか?」


「今さら昌也と話す事なんて、ないよ…」


昌也と別れてすぐに、昌也のLINEはブロックした。


電話は拒否設定にしていないが、それもされてると思ったから、
こうやって私を待ち伏せしていたのだろう…。


以前昌也に、この曜日はよくシフトに入っていると話していたけど、聞いてないようで聞いていたんだ。


「別れるにしても、一回ちゃんと話さないか?
俺達、6年も付き合ってて、真湖との事はいつか結婚だって考えていた」


それなのに、昌也は浮気ばかりしていて…。


色々言いたい事はあるけど、もう今さらこの人と争いたくない。


ただ、もう話す事はないのかもしれないけど、自分の中にあるこの人に対するわだかまり。


以前、夜に昌也と会った時に、勢い任せで別れたけど。


終わらせるなら、もっとしっかりとこの人とは終わらせたいとは、私も思っていた。


「少しだけなら、いいよ」


一夜には、バイトが終わったらLINEをする約束をしていて、
まだそれを送っていなかった。


だから、少しシフトが伸びた事にすればいい。



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