地味系女子のワケあり事情。
♢
「ねーねー、そういえばさ…波留?
私の婚約者ってどんな人だと思う??」
「はぁ、呆れた。今帰りのホームルーム始まってるよ?もう……。」
教室にはとっくに着いたし、ホームルームも始まってるけど話すのを止める気は少しもない私。
呆れられちゃった……
「そうだ、みんなに重要な話がある。
…今から、突然で悪いが明日から転入する奴を紹介するな。帰りなのに、とか思わないでくれ。
悲しくなる、思ったやつ…ぴえんぴえんだぞ。泣いちゃうぞ。」
久しぶりに先生の言葉が頭に入ってきた。
『ぴえんぴえん』って言葉だけだけど。
それにしても、今の時期に転入って珍しいなぁ…。
なんか、楽しみ。
「楽しみ…波留、どんな人だろうね!」
「………はぁ。うるさい心優。」
え……。
え。
「波留ひどい!!」
「は?何がひどいの。」
「塩対応…じゃん…。」
悲しくなる…よ…?
「…あ゛?なんか言った?」
ひぃぃ…。
「・・・。」
「やっと静かになったな。じゃあ紹介する。入っていいぞ。」
『やっと』静かになったってどう言う意味ですか!
まるで私が………ま、まあ確かに、うるさかったけど。
そうだ、転校生どんな感じの人かな〜。
悠人だったりして!
…あるわけないけど。
ガラガラガラ
「え…?はる…と?」
タッタッタッタ。
「こんにちは〜、流風です!みんな、仲良くしてね!!」
目の前に現れたのは、ずっと前から好きだった…。
悠人の…弟だった。
ザワザワザワザワ
「やだ、ちょ、イケメンじゃん!!」
「きゃ〜〜〜めっちゃかっこい〜〜〜!」
「癒される…これから一緒に学校生活送れるなんて、嬉しすぎるよ…。」
ザワザワザワ
まだ女の子の黄色い悲鳴が続いている…。
流風くんはまんべんの笑みを浮かべて黒板の前に立っていた。
そういえば、前に女の子からの声が嬉しいっていってたような…。
ははは…相変わらず人気だ、流風くん。
流風くんは悠人と一卵性の双子で、同一人物と言われてもほとんどの人は気がつかない。
私もさっき間違えそうになってしまった…。
前は見分けられたのに、なんか二人とも似てきちゃったからなぁ…。
でも、性格は全く違う。真逆と言っていいほど。
流風くんは可愛い犬系の男の子、悠人はツンデレ王子、みたいな感じ。