恋と、餃子と、年下男子

ちょっとしたヒント

 その夜は圭人と一緒に晩ご飯を作ることになった。本当は全部私がやろうと思ったのに、二人の方が楽しいでしょ、と圭人に押し切られてしまったのだ。

「なんか、屋台みたいね」
 食卓を占領するホットプレートを見て私が言うと、圭人は「そうだねー」と言って手際良く材料を並べていく。
 ホットプレートの上には、焼きそばとお好み焼き。夏祭りみたいだ。
「ホットプレートって良いよね。ばあちゃん家でも大活躍だったなー」
「一人だと滅多に使わないけど、大人数なら便利よね」
 一人暮らしなのに私がホットプレートを持っているのは、数年前にあった会社のクリスマス会で当たったからだ。役に立って良かった。
「小さい頃って、あんまりコンロに近寄らせてもらえなかったからさ、もっぱらホットプレート調理だったな」
「そっか。火が出ないから扱いやすいわよね」
「そうそう」
 
 ——そうか! ホットプレートだ!

「これだっ!」
 突然大きな声を出した私に、圭人が驚く。
「わっ、何? どしたの萌子さん」
「ホットプレート! これなら子供でも調理できるわよね!」
「う、うん?」
「餃子も作れる?」
「餃子? うーん、火力がちょっと足りないかも……。あと、油が跳ねたりするから、フライパンの方が……」
「火力と油跳ねが課題ね! ありがと圭人!」
 忘れないように、思いついたことをスマホのメモ帳に打ち込む。いけるかもしれない。これなら、子供でも調理できる冷凍餃子が作れるかも。
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