恋と、餃子と、年下男子

仔犬のお願い

 モエモエの歓迎会をしよう、という話になったものの、今日はどうしても都合がつかないと断って後日にしてもらった。
 気になっていた。あの、拾ってきた男の子が。家に帰れとは言ったものの、よく考えたら鍵を開けっ放しで帰られるのも問題だ。今朝は動転していて、そこまで思いが至らなかった。
 
 足早にマンションへと帰る。エレベーターのボタンを無駄に何度も押した。五階に着き、自分の部屋の前で立ち止まる。多分、いや恐らく、もう彼はいないだろう。ドアノブに手をかけると、予想に反してしっかりとドアには鍵が掛かっていた。
 鍵を開けて部屋に入ると、カレーのいいにおいがした。
 
「あ、おかえり萌子さん」
 
 そう言ってキッチンからこちらを振り返ったのは、紛れもなく、私が拾ったあの男の子だった。
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