心の温度

「本山さんが倒れるほど、男性社員たちからアプローチされて困っていたのか…」

「そして北川さんのご両親が悟に偽装恋人になって、北川さん親子を守って欲しいと頼んだそうなんだ。」

「仕事では無い事で辛い思いをしてるなら男避けになるからな、でも離婚したばかりなら北川さんが不倫などしてたとまた辛い目に合わないか?」

「そこでなんだけど〜、悟の地元には佐藤建築工業があるんだよ! アイツは、一般住宅も良いけど、都市開発のようなプロジェクトに向いているんだ。
だから佐藤建築工業のプロジェクトに出向させて、
北川さんもプロジェクトの経理担当に出向にしたらどうかなと思ってさ〜。隣県だし出向した先では結婚を前提で付き合ってると言えば、プロジェクトの人間にしか関わらないからアプローチなんか無いと思うしどう思う?」

「いい案だと思うが、北川さんはご両親と離れてしまうから、お前も話し合いには同席して説得した方が良いかもなぁ。じゃあ、悟くんは実家に戻って、北川さんは佐藤建築工業の社宅?」

「イヤ、普通のマンションにして知恵ちゃんが同居する。」
「悟くんの妹さんか?」
「そう。北川親子やご両親とも仲良しなんだよ」
「ほう〜。で、当の本人である悟くんは北川さんの事どう思っているんだ?」
「本人は気づいてなかったんだけどさ、好きなんだよ〜。」
「ほう〜。お互い子連れで同じ苦労もしてるから上手くいくと俺は思うな。」
「うん。だからさ叔父さんに聞いて欲しいと思ってさ。」
「わかった。健太郎に電話してみるわ」
「お願いします。」
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