心の温度

「お母さん…私、純一さんが持ってきた誓約書にもサインしたの…」

「どんな誓約書なの?」

「慰謝料以外の金銭の要求はせず、二度と会わないっていう誓約書…」

「じゃあ、純一さん一家には彩音と啓ちゃんを捨てても文句言うな!って事? ハァ?何それ!酷すぎる」

「博美さん、落ち着いて。ね!」

「彩音ちゃん。これは第3者からみても理不尽な離婚だと思うよ?本当にこれでいいのかい?」

「塚田さん…今思えば結婚してから純一さんは変わってしまったの…この5年間……純一も私には冷たく当たってて、何を考えているかわからなかった…でも…啓太は純一さんの事大好きで…
ずるずるとここまできたんです。
私も純一への愛情は凍り付いてたんです…
だから離婚した方が私は楽になります。でも、啓太には申し訳ないと思ってます……」

「あや……そんな思いをしてたなんて……ゔ…ゴメンね。ゴメンね…あや…」

「そうだったんだね。彩音さんの優しさがかえって君を苦しませてしまったんだね…ごめんね」

「ふぅ〜…何だか気が抜けた…ハハ」
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