オー!マイ・ハワイ!
  「まなみ、明日からハワイでしょ? お土産楽しみにしてるから」

 まなみの仕事は、はらまちロープウェイの添乗員。そのロッカールームで芽衣(めい)は着替えながらまなみに話しかけた。芽衣とまなみは同じバイト仲間でいちばん仲がよい。

 「期待してて。でもハワイが居心地よかったらもう帰ってこないかも!?」

 「それじゃさみしいじゃん」

 芽衣はしゅんとした顔をしながらパタンとロッカーのドアを閉めた。

 「うそうそ、帰ってくるわよ。日本に帰ってきたらやりたいこともあるの」

 「やりたいこと?」
 
 「わたしね、占い師になりたいの。なにかそのヒントをハワイで掴んでくるつもり」

 「楽しんできてね」

 「うん! あー早く明日にならないかな」

 婚約破棄から半年経って、隆史への気持ちはずいぶん吹っ切った。もう帰ってこないかも? と言ったのが現実になるとは、この時は全く思っていなかった。



 
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