【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~

21.休暇

 雲一つない空に目が眩むほど強い日差し。本来ならば汗ばむほどの陽気だが、高台のためか幾分過ごしやすい。


「大丈夫、クララ?疲れたんじゃない?」

「平気です。遠出なんて久しぶりで、すごく楽しみにしていたんです」


 フリードの問いかけに、クララはニコリと笑って答える。

 城に出仕して以来初めて迎える、少し纏まった休暇。
 クララたちは今、王都から少し離れた所にある、とある貴族の所有する森に来ていた。

 城とも王都とも違う清々しい空気。鼻腔を擽る葉や土の臭いが新鮮で、クララは大きく息を吸う。漂う非日常感に心が躍った。


「ねぇ。日差し強すぎじゃない?こんなパラソル一つでちゃんと防げるものなのかしら」


 折り悪く背後から聞こえる不機嫌そうな声音。クララが振り返れば、第2王子ヨハネスとレイチェル一行が馬車から降り立った所だった。


「良いよ良いよ、レイチェルは室内で休んでいて。君の綺麗な肌を傷つけたらいけないからね」
「ありがとう、ハンス!そう言ってくれると思ってた!頑張って来てね」


 そう言ってレイチェルはヨハネスの頬に手を伸ばしキスをする。何やら見ていて艶めかしい触れ合いだった。


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