【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「名前は?フリードの婚約者なんでしょ?」


 許可なしに答えてもよいものだろうか。そう思ってクララがチラリとコーエンを見ると、彼は小さく頷いた。どうやら問題はないらしい。


「――――クララ・スカイフォールと申します」


 クララが名乗ると、ヨハネスはニコリと微笑んだ。


「なるほど、スカイフォール公爵の娘さんね。さすが父様。対戦相手として申し分ない……だろ?レイチェル」

「ええ」


 レイチェルと呼ばれた少女はそう言って、その可愛らしい容姿に似合わぬ勝気な笑みを浮かべる。


「レイチェル・スチュアートです。以後お見知りおきを」


 目の前の少女を見つめながら、クララは自身の記憶を辿っていった。

 スチュアートというのは伯爵位を持つ貴族であり、大層な資産家一族だ。現伯爵は財務大臣の職に就いていると聞いている。この国において、もっとも力を持つ貴族の一人と言っても過言ではない。


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