【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~

24.不器用な口づけと

 それからすぐに、クララはフリードと共に、コーエン達の元へと向かった。

 先程まであんなにも獰猛に、その生命力の強さを見せつけていた熊が、今はもうハリボテのように見える。

 とはいえ、切りつけられた傷口から流れた血はまだ湿っているし、体毛や身体は固まっていない。つい先程まで魂がそこにあったことを窺わせた。


「人への被害は今のところ確認されていないけど」

「ん、念のため胃の中身は確認すべきだろうな」


 真面目な顔をしてそんなことを話すフリードとコーエンに、クララはぞぞっと身の毛がよだつ。


「カール、この辺で目撃されてた熊はこの一頭?」

「俺の部下の調べではそうだ。だが、部下たちには引き続き森の中の調査を継続させている」


 口を真一文字に引き結び、カールはそう答える。見た目はいつもの威厳たっぷりなカールだ。けれど、その顔はどこか元気がない。

 会話を続けながらもコーエン達は剣を手に、今にも解体ショーを始めそうな様子だった。さすがにクララはそんな場面を直視できそうにない。夜、夢にうなされる様が目に見えるようだ。


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