愛されることばかり考えてないで
ほら、今また素敵な景色とすれ違ったよ。

グレタ・ガルボが、これまでに見た何より美しいものだと言っていた、腕を組んで歩く老夫婦。

ねぇ、あなたは覚えている?

今よりずっと不自由だったのに、何もかもが楽しくて輝いていたローティーンの頃を。

あの頃のあなたに似た部活少女たちが、ただ訳もなく笑い転げながらすれ違った。

だけど、あなたはどんな景色にも気付かない。

視線はずっと、小さな画面の中。

友達とも、もう随分会っていないのね。

SNSで繋がっているし、いちいち会うのも面倒…そんな風に思っているから。
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